障害年金とは

 障害年金とは、病気や怪我により日常生活や仕事が制限されるようになった場合※1に、生活の保障を目的として支給される、国の公的年金制度です。 支給を受けるためには、一定の要件を満たしたうえで※2、請求手続きを行う必要があります。

※1 障害年金・障害手当金の額の段で詳細は後述しますが、障害の状態により、障害基礎年金は1級~2級、障害厚生年金は1級~3級の年金を受け取ることができます。尚、就労している場合であっても、障害年金請求は可能です。又、障害厚生年金には3級までの等級に該当するよりも軽い障害が残った場合の、障害手当金の制度(一時金です)も設けられています。身体の障害に限らず、知的障害、精神疾患、内部障害等、ほとんどの病気や怪我は、障害年金請求の対象となります。
※2 受給要件の段で詳細は後述しますが、障害の程度が障害年金の等級に該当するものであること、その他、保険料の納付要件等があります。

障害年金の種類

 障害年金には、「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があり、障害の原因となった病気や怪我に関して、はじめて医師または歯科医師の診療を受けたとき※3に、国民年金に加入していた場合は「障害基礎年金」、厚生年金に加入していた場合は「障害厚生年金」が請求できます。又、障害厚生年金には、障害厚生年金を受け取ることができる状態よりも軽い障害が残った場合の「障害手当金(一時金です)」の制度も設けられています。

※3 初診日といいます。尚、初診日は、病名が特定された日ではありません。同一の病気や怪我で転医があった場合は、一番初めに医師等の診察を受けた日が初診日となります。

受給要件

 「障害基礎年金」「障害厚生年金」「障害手当金」、それぞれ以下の条件全てに該当する場合、当該年金を受給することができます。

●障害基礎年金の受給要件

check 障害の原因となった病気や怪我の初診日が、次のいずれかの期間にあること

・国民年金加入期間
・20歳前または日本国内に住んでいる60歳以上65未満の方で年金制度に加入していない期間(老齢基礎年金の繰り上げ受給者を除く)

例)

・20歳~60歳で、自営業者や、被用者年金に加入している配偶者に扶養されている第3号被保険者である期間に初診日がある場合
・先天性疾患等で、20歳前に初診日がある場合       ・・・等

check 障害の状態が、障害認定日※4または20歳に達したときに、1級~2級に該当する状態に該当していること

(尚、障害認定日における障害の状態が軽い場合であって、その後に障害の状態が重くなった場合には、事後重症による請求は可能です)

※4 一般的に、その障害の原因となった病気や怪我についての初診日から1年6ヶ月を経過した日を障害認定日といいますが、病気や怪我によっては、1年6ヶ月以内であっても、その症状が固定した日もって、障害認定日とする場合もあります。

check 保険料の納付要件を満たしていること※5

※5 保険料の納付要件の段で詳細は後述します。尚、先天性の疾患その他で、20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、保険料の納付要件は問われません。

●障害厚生年金の受給要件

check 障害の原因となった病気や怪我の初診日が、厚生年金保険の被保険者期間にあること
check 障害の状態が、障害認定日に、1級~3級に該当する状態に該当していること

(尚、障害認定日における障害の状態が軽い場合であって、その後に障害の状態が重くなった場合には、事後重症による請求は可能です)

check 保険料の納付要件を満たしていること※5

※5 保険料の納付要件の段で詳細は後述します

●障害手当金(一時金です)の受給要件

check 障害の原因となった病気や怪我の初診日が、厚生年金保険の被保険者期間にあること
check 障害の状態が、次の全ての条件に該当していること

・初診日から5年以内に治っていること※6
・治った日において障害年金を受け取ることができる状態よりも軽いこと
・障害手当金に該当する障害の状態であること

※6 日常生活で使用する「もとの健康な状態にもどる」という意味ではなく、「症状が固定する」という概念で、治るという用語が用いられます

check 保険料の納付要件を満たしていること※5

※5 保険料の納付要件の段で詳細は後述します

保険料の納付要件

●原則としての納付要件

check 初診日の前日において※6、初診日の属する月の前々月までの被保険者期間のうち、国民年金の保険料納付済期間(厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間を含む)と保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上あること

●納付要件の特例

check 初診日が2026年4月1日前にある場合で、初診日において65歳未満であり、初診日の前日において※6、初診日の属する月の前々月までの直近1年間に保険料の未納期間がないこと

(尚、初診日が平成3年5月1日前の場合は、納付要件が異なります)

※6 納付要件は、初診日の前日における納付状況によりますので、障害の原因となった病気や怪我の初診日以後に、未納期間について保険料を後納した場合でも、当該障害年金の納付要件の確認上は、納付済み期間とはカウントされません。

障害年金・障害手当金の額

障害基礎年金には1級~2級、障害厚生年金には1級~3級があり、障害厚生年の1級又は2級に該当する場合は、その等級における障害基礎年金も受給することができます。
障害基礎年金の額は定額ですが、障害厚生年金の額は、報酬比例により算出されます(但し、3級の障害厚生年金と、障害手当金には、最低保障が設けられています)。
尚、各障害の部位・種類における等級の認定基準については、以下、URLをご参照ください。
»国民年金・厚生年金保険 障害認定基準(日本年金機構サイト内)

障害の程度 年金・手当金の金額
障害厚生年金・障害手当金 障害基礎年金
1級 報酬比例により算出される年金額×1.25 975,125円
2級 報酬比例により算出される年金額 780,100円
3級 報酬比例により算出される年金額
(最低保障額:585,100円)
障害手当金
(一時金)
報酬比例により算出される年金額×2
(最低保証額:1170,200円)

(表中の額は、2019年度における年額です)

又、1級~2級の障害厚生年金を受け取ることができる方に、生計を維持されている要件を満たす配偶者がいる場合には加給年金額、又、障害基礎年金を受け取ることができる方に、生計を維持されている要件を満たす子がいる場合には、子の加算額を、あわせて受け取ることができます。

金額 加算される年金 要件
配偶者 224,500円 障害厚生年金 65歳未満であること(T15.4.1以前生まれを除く)
子2人まで 1人につき224,500円 障害基礎年金 ・18歳になった後の最初の3月31日までの子
・20歳未満で障害等級1級又は2級の障害の状態にある子
子3人目から 1人につき74,800円

(表中の額は、2019年度における年額です)

請求の種類

●本来請求(障害認定日)

障害認定日において障害等級に該当している場合に、障害認定日から1年以内に請求を行うものです。この場合、支給開始は障害認定日の属する月の翌月となります。請求に必要となる診断書は、障害認定日以後3ヶ月以内の現症日における診断書1枚です。

●遡及請求(障害認定日)

障害認定日において障害等級に該当していたが、障害年金制度について知る機会がなかった場合等、障害認定日から1年を過ぎて請求を行う場合あります。これを遡及請求といいます。
この場合、支給開始は障害認定日の属する月の翌月まで遡ります※7が、請求には、障害認定日以後3ヶ月以内の現症日における診断書に加え、請求日または同日前3ヶ月以内の現症日における診断書が必要となります。

※7 但し、受給権の発生が請求日より5年以上遡る場合は、時効により、請求日から遡って5年分のみが支給されることになります。(時効特例除く)

 納付要件は、初診日の前日における納付状況によりますので、障害の原因となった病気や怪我の初診日以後に、未納期間について保険料を後納した場合でも、当該障害年金の納付要件の確認上は、納付済み期間とはカウントされません。

●事後重症請求

障害認定日において障害等級に該当していなかった方が、その後、症状が悪化し、65歳の達する日の前日までに障害の状態に該当することになったときに行う請求です。
この場合、支給開始は請求日の属する月の翌月からとなり、請求には、請求日または同日前3ヶ月以内の現症日における診断書が必要となります。

●初めて1級または2級による請求

障害等級1級または2級に該当しない程度の障害を有していた方が、新たな傷病※8の発生に伴い、前発の障害と新たな障害の状況をあわせることによって初めて1級または2級の障害等級に該当することにより行う請求です。
この場合、支給開始は請求日の属する月の翌月からとなり、請求には前発障害および基準障害についての、請求日または同日前3ヶ月以内の現症日における診断書各1枚が原則必要となります。
※8 基準傷病といいます。納付要件等は、基準傷病により判断されます。

その他

過去に障害年金を受けていた方が、障害等級に該当しなくなった等の理由により障害年金が支給停止になった場合において、その後改めて障害等級に該当することになった場合に提出する支給停止事由消滅届や、障害等級が変更した場合に行う額改定請求等の手続きもあります。
又、障害年金の裁定の結果等、厚生労働大臣が行った処分に不服がある場合には、不服申し立ての制度があります(審査請求・再審査請求)。